しじみの旨味成分。コハク酸とグルタミン酸が旨味の正体。
疲れた時やお酒を飲んだ翌日にしじみの味噌汁を飲むと、旨味にほっとする人は多いのではないでしょうか。二枚貝の一種であるしじみは疲労回復や二日酔い予防といった健康効果が期待できる栄養素が含まれていますが、旨味成分も豊富です。ここではしじみに含まれる旨味成分であるコハク酸とグルタミン酸の働きについてご紹介します。
しじみの旨味成分
しじみに含まれる旨味成分は、コハク酸とグルタミン酸の2種類です。コハク酸は自然界に広く存在している物質で、二枚貝、化石、藻類、菌類などに含まれています。コハク酸は旨味成分として役立つだけではなく、医薬品、食品添加物、入浴剤など幅広く用いられています。グルタミン酸はたんぱく質を構成するアミノ酸の一種で、人間の身体の約2%はグルタミン酸です。グルタミン酸は海藻、小麦、大豆、さとうきびなどに多く含まれています。グルタミン酸は昆布の旨味の主成分であることで有名で、調味料としても活用されています。
コハク酸の働き
しじみの旨味成分であるコハク酸は、まだまだ研究途中で、はっきりとした働きはわかっていませんが、がん細胞の増殖を抑制する作用があることが報告されています。広島大学で行われた研究によると、大腸内のコハク酸の濃度が上がると大腸がんの細胞の増殖が抑えられたことが確認されています。がん細胞が増え続けると、がん細胞が周りに広がり他の臓器に転移していきます。その結果、人体に悪影響を及ぼしていきます。日常生活に近い量のコハク酸を摂取することでがん抑制効果が確認されていることから、新薬や新しい機能性食品に繋がる可能性が期待されています。
グルタミン酸の働き
グルタミン酸は体内で合成することのできる非必須アミノ酸の一種で、有害物質であるアンモニアを解毒し尿の排出を促進する効果があります。アンモニアは食べ物からエネルギーを作る過程で生成される副産物で、体内に蓄積すると疲労の蓄積や組織の老化、神経伝達物質の働きを阻害など様々な悪影響を及ぼします。グルタミン酸はこのアンモニアを取り込みグルタミンに変換することで、アンモニアを無毒化し尿の排出を促進させる働きがあります。またグルタミン酸は神経伝達物質と似た働きをして、脳を活性化する効果もあります。グルタミン酸を摂取することで、記憶力や学習機能を向上させる効果があることが分かっています。
まとめ
しじみに含まれる旨味成分は、コハク酸とグルタミン酸の2種類です。コハク酸は自然界に広く存在している物質で、がん抑制効果があることが分かっています。またグルタミン酸は人間の体の一部を構成している栄養素で、アンモニア解毒や脳の活性化といった効果があることが分かっています。しじみの旨味成分は、私たちに食べる楽しさだけではなく健康効果も与えているのです。