しじみに含まれる葉酸。赤血球の合成、胎児の神経障害予防などの働き。
二枚貝の一種であるしじみには、タンパク質・ビタミン・ミネラル・オルニチンといった栄養素が豊富に含まれています。その中でも葉酸はビタミン群の一種で、特に妊娠中の女性に必要な栄養素として有名です。ここではしじみに含まれる葉酸の量と、葉酸の働きについてご紹介します。
しじみに含まれる葉酸の量
しじみには100g(約35個)あたり約17マイクログラム(mcg)の葉酸が含まれています。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2010年)によると、成人における葉酸の一日摂取推奨量は240mcgです。なお妊娠中の女性は赤ちゃんが神経管閉鎖障害になるリスクを減らすために、葉酸の一日摂取推奨量は400mcgと定められています。諸外国と日本では、妊娠中の女性に対して赤ちゃんが神経管閉鎖障害になるリスクを減らすために、食事に加えてサプリメントなどから葉酸を摂取するよう勧告しています。葉酸はしじみ以外にレバー、うなぎ、うに、枝豆、納豆、卵、野菜などに多く含まれています。しじみだけでは一日推奨摂取量の葉酸を摂る事は困難なため、他の食品やサプリメントを活用するのがおすすめです。
葉酸の働き
しじみに含まれている葉酸は細胞分裂に必要な栄養素で、主に以下のような働きをします。
赤血球の合成
葉酸は別名『造血ビタミン』と呼ばれており、赤血球を作る過程で必要になる栄養素です。赤血球は骨髄で作られており、約120日の寿命を過ぎると脾臓で分解されます。そのため新しい赤血球を常に作るために、普段から葉酸を摂取することが必要です。葉酸が不足すると赤血球が正常に作られなくなり、貧血の一種である巨赤芽球性貧血の原因となります。
粘膜の健康維持
葉酸は鼻・口・耳といった、粘膜の健康を維持する働きがあります。粘膜は新陳代謝が活発で、古い細胞と新しい細胞が頻繁に入れ替わっています。葉酸は細胞分裂に必要な栄養素で、不足すると口内炎や舌が赤くなる舌炎などの原因となります。また葉酸不足は消化器系にも悪影響を及ぼし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こします。
胎児の神経障害の予防
葉酸は胎児の神経管閉鎖障害(NTD: neural tube defects)の発症リスクを減らす働きをします。神経管閉鎖障害は赤ちゃんの先天性疾患のひとつで、脳や脊髄といった中枢神経の元になる『神経管』の一部が塞がらないことが原因で、脳や脊髄が正常に機能しなくなる疾患です。神経管閉鎖障害の主な原因のひとつに葉酸不足が挙げられており、妊娠前から葉酸サプリメントを内服すると発症リスクが70~80%軽減できることが分かっています。妊娠を希望している女性は、妊娠前から葉酸を意識して摂取するのがおすすめです。
まとめ
しじみに含まれている葉酸は、細胞分裂に必要な栄養素です。葉酸は赤血球の合成、粘膜の健康維持、胎児の神経障害の予防といった働きをします。二枚貝の一種であるしじみには葉酸が含まれていますが、その量はあまり多くありません。特に妊娠を希望する女性と妊娠中の女性は、しじみだけではなく他の食品やサプリメントから葉酸を摂取するのがおすすめです。