しじみパワーで元気な身体作りを。疲労回復効果のある栄養素は?
しじみは「肝臓に優しい」と一般的に知られる食品のため、二日酔い予防によいとイメージする人が多いのではないでしょうか。しじみは二日酔い予防以外に、疲労回復効果もある食品です。現代はストレス社会と呼ばれており、多くの人が慢性的な疲労に悩まされています。疲労を放置すると病気の原因になるため、しじみパワーで元気な身体作りをすることが大切です。ここではしじみに含まれる、疲労効果のある栄養素についてご紹介します。
しじみに含まれる疲労回復効果のある栄養素
しじみに含まれる疲労回復効果のある栄養素は以下の5つです。
オルニチン
しじみに豊富に含まれているオルニチンは、アミノ酸の一種で、肝臓のオルニチンサイクルを活性化させて、アンモニア解毒を促進する栄養素です。アンモニアはタンパク質からエネルギーを生成する過程で作られる副産物で、肝臓に蓄積すると肝機能を低下させます。さらにアンモニアが血流に乗って全身を巡ると、細胞内に入り込んで、エネルギーを生成しているミトコンドリアの働きを阻害します。ミトコンドリアの働きが阻害されるとエネルギーがスムーズに生成されなくなり、疲労の原因になります。しじみからオルニチンを摂取することでアンモニア解毒がスムーズになり、肝機能を向上させ、疲労回復効果を得ることができます。
オルニチンはしじみ以外に、ヒラメ、キハダマグロ、エノキ、チーズなどに多く含まれています。これらの食品のオルニチン含有量は少ないため、疲労回復のために補助的に活用するのがおすすめです。
タウリン
しじみに豊富に含まれているタウリンは、アミノ酸の一種で、肝機能を高める効果があります。肝機能が安定していると、代謝や解毒がスムーズに行われるため、疲労回復に役立ちます。また、タウリンは肝臓で作られる胆汁酸の分泌を促進する働きがあります。胆汁酸は血中のコレステロールを材料に作られるため、胆汁酸の分泌を促進することで血中コレステロール値を下げることができます。血中コレステロールが下がると血流がスムーズになり、全身の細胞に酸素や栄養を供給しやすくなり、疲労回復効果を得ることができます。
タウリンはしじみ以外にサザエ、牡蠣ホタテ、カツオ、ブリ、イカ、タコなどの魚介類に多く含まれています。
メチオニン
しじみに豊富に含まれているメチオニンは、アミノ酸の一種で、肝臓の毒素や老廃物の排出を促し、利尿作用を高める働きをする栄養素です。メチオニンが不足してしまうと、肝機能が衰え、利尿作用が低下してしまい、体内に老廃物が蓄積してしまいます。老廃物が体内に蓄積すると、疲れやすい身体になってしまいます。しじみからメチオニンを摂取することで、毒素や老廃物の排出を促し、疲労回復効果を得ることができます。
メチオニンは体内で合成できないため、食品から摂取する必要があります。メチオニンはしじみ以外に、鶏肉や豚肉などの肉類、マグロやカツオ、ブリなどの魚介類、チーズ、豆類、小麦胚芽などに多く含まれています。
ビタミンB群
しじみに豊富に含まれるビタミンB群は、脂質の分解や代謝を促進させる栄養素です。
・ビタミンB1...筋肉や神経の疲れをやわらげる
・ビタミンB2...脂質をエネルギーに変える。不足すると疲れが取れにくくなる
・ビタミンB6...アミノ酸をエネルギーに変える
・ビタミンB12...タンパク質・脂質をエネルギーに変える。神経の機能を正常に保つ
しじみには、上記のようなビタミンB1・B2・B6・B12、さらにナイアシン・葉酸といったビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群はお互いの働きをサポートする性質があるため、複数のビタミンB群が含まれているしじみは、疲労回復効果を得るために効率的な食品です。
ビタミンB群は、しじみ以外にレバー、玄米、うなぎ、納豆などに多く含まれています。
鉄分
しじみに豊富に含まれる鉄分はミネラルの一種で、全身の細胞に酸素を運搬する赤血球をつくるために必要な栄養素です。鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こし、息切れ、倦怠感、頭痛などの症状がおこります。現代の日本人の多くは鉄不足だと言われています。特に女性は月経のたびに鉄分が失われ、妊娠中の女性も胎児に大量の血液を送る必要があるため、積極的に鉄分を摂取することが大切です。
しじみには鉄分が豊富に含まれていることに加えて、鉄分の吸収を促すビタミンB12も多く含まれています。鉄分を効率的に摂取したい人は、普段の食生活にしじみを活用するのがおすすめです。鉄分はしじみ以外に、レバー、小松菜、卵黄などに多く含まれています。
しじみの一日の摂取目安量
しじみには100g(約35個)あたり、約10~15mgのオルニチンが含まれています。これはしじみの味噌汁一杯分程度の量です。しじみは他の食品と比べて、オルニチン含有量が圧倒的に多い量です。しかし、成人のオルニチン摂取目安量は一日400~1000mgで、しじみからこの量のオルニチンを摂取するためには、一日約2000~3000個のしじみを食べる必要があります。毎日大量のしじみを食べるのは現実的ではないので、サプリメントと併用するのがおすすめです。
しじみを食べる時の注意点
しじみは疲労回復効果のある栄養素が豊富に含まれていますが、食べる時に注意が必要な場合があります。それはC型肝炎などの慢性肝炎や、肝硬変などの診断を受けている人です。しじみ100gあたり約5.3mgの鉄分が含まれています。肝臓の病気を抱えている人が健康な人と同じ量の鉄分を摂取すると、症状が悪化する危険があります。健康な人の鉄分の一日摂取目安量は、男性で7mg程度、女性で10mg程度です。一方、肝臓の病気を抱えている人の場合、多くの病院では鉄分の摂取を一日6mg程度に制限するよう指導されます。肝臓の病気を抱えている人がしじみを食べたい時は、必ず医師に相談した上で、指導された量を食べるようにしましょう。
まとめ
しじみは「肝臓に優しい」と一般的に知られる食品ですが、二日酔い予防だけではなく疲労回復に役立つ栄養素が豊富に含まれています。しじみに含まれている疲労回復効果のある栄養素は、オルニチン、タウリン、メチオニン、ビタミンB群、鉄分です。しじみだけから一日摂取目安量のオルニチンを摂るのは現実的ではないため、サプリメントも活用するのがおすすめです。肝臓の病気を抱えている人がしじみを食べたい時は、必ず医師に相談した上で、指導された量を食べるようにしましょう。