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外来種タイワンシジミによる、国産しじみへの影響は?

外来種とは、もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入って来た生物のことを指します。しじみは昔から多くの日本人に親しまれてきた食品ですが、1980年代に外来種であるタイワンシジミが侵入したことで在来種に影響を与えています。
ここではしじみの外来種であるタイワンシジミとは何か、タイワンシジミによる影響についてご紹介します。

しじみの在来種と外来種

しじみは昔から多くの日本人に親しまれてきた食品で、国産のしじみはヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミの3種類です。現在日本国内に流通しているしじみのほとんどはヤマトシジミで、マシジミとセタシジミは環境の変化によって生息数が激減しています。この3種類以外は、全て外来種のしじみになります。外来種のしじみは、外見だけでは区別をするのが難しいです。しかし国産のしじみと遺伝子的に異なるため、違う種類のしじみとして扱われています。

外来種タイワンシジミとは

しじみの外来種で有名なのは、タイワンシジミです。

タイワンシジミの基本情報

タイワンシジミは名前の通り台湾が原産のしじみで、中国、台湾を中心とした東アジアの淡水域に生息しています。タイワンシジミの外見は在来種のマシジミによく似ており、遺伝子的にもきわめて近いため、正確に同定するためには遺伝子検査が必要になります。タイワンシジミは雌雄同体で、卵をえらの中で稚貝まで保育した後に放出し、自家受精をすることもできます。そのためタイワンシジミがいったん定着すると大量発生し、在来種のしじみの生態を脅かす原因になると言われています。

タイワンシジミが日本に侵入した理由

タイワンシジミは1980年代に食用として輸入され、国内に持ち込まれました。その後、畜養(国産しじみと表示するために、出荷前に国内の河川や湖沼にばらまいて再度採集すること)や廃棄などで自然界に放たれたものが野生化し、分布が広がっていきました。タイワンシジミは1987年に国内で初めて確認され、現在は北海道を除く全都道府県に生息していることが分かっています。

外来種タイワンシジミの影響

外来種であるタイワンシジミが国内の本州から九州のほぼ全域に広がったことで、以下2点の影響が確認されています。

水質汚染

タイワンシジミは繁殖力が高いしじみのため、河川や湖底にタイワンシジミが大量発生することがあります。タイワンシジミが大量に繁殖した地域では、大量死後によって悪臭を放ったりするなどの水質汚染が問題になっています。

在来種マシジミの減少

タイワンシジミの分布が全国的に広がっているのに対し、在来種であるマシジミの生息数は減少していることが報告されています。これはタイワンシジミがマシジミの生息域に侵入したことによる影響が大きいと考えられています。タイワンシジミはセタシジミよりも繁殖能力が高いため、セタシジミの生息域に定着すると速やかに入れ替わってしまいます。また、タイワンシジミはセタシジミと交雑することで、遺伝子を置き換えている事例が報告されています。マシジミとタイワンシジミは雄性発生という、受精後に精子側の遺伝子情報だけが残る繁殖様式をとっています。そのためタイワンシジミの精子が水中に大量放出されマシジミの卵と受精すると、タイワンシジミの遺伝子を持った稚貝が生まれてしまいます。マシジミの生息地にタイワンシジミが侵入した3~4年後には、マシジミが消失してタイワンシジミに置き換わったというケースも報告されています。

タイワンシジミの生息域を広げないために

これ以上タイワンシジミの生息域を広げないために、家庭でもできることがあります。マシジミは全国の河川に生息しているため、川遊びをしている時に網や長靴に幼貝が付着することがあります。川遊びや釣りの後は、長靴や道具に付着している生物を取り除くようにしましょう。またタイワンシジミは小さな水路でも繁殖するため、しじみを家に持ち帰って、放流するのはやめましょう。

まとめ

昔から多くの日本人に親しまれてきたしじみは、国産の在来種だけではなく外国産の外来種があります。外来種のしじみで有名なのはタイワンシジミで、1980年代に食用しじみとして輸入されました。タイワンシジミは畜養や廃棄によって国内の河川に放流され、北海道を除く全国に生息域を広げていきました。タイワンシジミの影響は、水質汚染や在来種であるセタシジミの減少があります。これ以上タイワンシジミの生息域を広げないために、身近なことから対策をとることが重要です。

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